言葉は難しい、でも・・・!ABAで強化する! -発達障がいの子供を抱える親ができること-

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Sally

小学生の発達障害児を持つ母。子供が2歳の頃からABA【応用行動分析】を中心とした早期療育に取り組む。普通とはちょっと違う我が子が、社会で楽しく暮らしていけるように応援する毎日。子供が社会に溶け込むためには、まずは自分が社会と繋がっていないと…そのための自分磨きもバッチリ。

言語を使ったコミュニケーションの訓練を始めたのは、我が子が2歳を数か月過ぎた頃でした。

それまでも声は出ていました。ただ、意味のある言葉ではないし正しい発音でもありません。

また、我が子は1歳半くらいから、自分が興味のある物の一部分を発音することがありました。たとえばバナナだったら「バ」、イチゴだったら「チゴ」など。でも、その状態で止まってしまい、そこから一向に言葉を話そうとしませんでした。

そして話さないことを埋め合わせるように、何かやってほしいことがあると私の手を引張りその場所まで連れて行き、望む物の上に手を添える「クレーン現象」という手段で自分の欲求を伝えようとしていました。

 

言葉は複雑

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世界的な自閉症療育で名高いアメリカの教育心理学者のケーゲル博士は、「自閉症児にとって言葉を話すことは微積分のように難しい」と語っています。

言語によるコミュニケーションの仕組みは信じられないほど複雑です。簡単な発語も、母音、子音、子音群そして単語を形成する母音と子音の複雑な組み合わせを含む音声システムで成り立っています。

その他にも、適切な音量や、音の高低、イントネーションや速度、身振り手振りや視線合せ、表情などを適切に使う必要があります。

言語をつかさどる脳の部分に問題がない人は、幸いこのすべてを簡単に行えるようにできていますが、自閉症の障害を持つ人にとっては「ありがとう」の挨拶すら、数学の微積分をするくらいとても大変なことなのです。

つまり、その当時の我が子は「話すのは難しいことなのに、どうしてしなきゃいけないの?」という状態だったのだと思います。

クレーンによる誘導で、ある程度自分の欲求が満たされていたため、話そうとしないのです。なぜなら言葉は難しいから。

とはいえ全てがクレーンで通じるわけではありませんでした。

我が子は、まくらの角を触るのが大好きで、それをしていると落ち着くという習性がありました。これは数年経った今でもそうで、自己刺激の一つになっています。

ある日、そのまくらをベランダに干していたのですが、私はそのことをすっかり忘れていました。我が子が私の手を引いて窓の前に連れて行き「が」「が」と明瞭でない発音で何か要求しました。「ベランダに出たい」と言っているのかと思い、抱っこをして外へ出たのですが、まだ何か要求しています。でも何を言いたいのか、何を要求しているのか、わかりません。仕方なくそのまま部屋の中へ入ると、要求が通じなかったフラストレーションでひどい癇癪を起しました。

「まくら」と言うことができれば、この癇癪は起こさずにすんだのです。やはり言語によるコミュニケーションは必要だ、どうにかして言葉を教えなくてはと思いました。

ちなみに、少し前までは、自閉症の子供は話さないまま大人になることも少なくないとされていましたが、指導法が進歩した現在、アメリカでは5歳までに介入を開始した場合、約9割の子供が言葉を使ったコミュニケーションを身につけられるというデータがあります。こういう話を聞くだけで、当時の私は明るい気持ちになりました。

 

 

ABAの強化・強化子とは

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前回もお話しましたが、私は世界的に主流であったABA(応用行動分析)で、我が子の療育を始めることにしました。

ABAは「人間の行動は学習によって獲得されたものであり、不適切な行動は誤った学習の結果として起こる」という考え方に基づいて、

・望ましい行動や反応を強化する

→強化とは(ほめる、報酬、褒美)

・望ましくない行動は消去する

→消去とは(無視、ほめない、タイムアウト)

という方法だと、説明したと思います。

 

ここで、ABAでいう「強化」とは、簡単に言えば褒美のことです。褒美といっても「おもちゃ」や「お菓子」などの物だけではなく、「かっこいいね」「がんばってるね」などの声掛けや、本人がやりたい行動をやらせることも「強化」です。例えば電気のスイッチを付けたり消したりするのが好きな子供はそれをやらせてあげることが「強化」になります。

そして、その対象となるものを「強化子」と言います。

(例:おもちゃを与えることを「強化する」といい、そのおもちゃを「強化子」と呼びます)

療育ではよく使う用語です。

 

最初の言葉

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 これは、私が初めて子供に言葉を教えた時のやりかたです。

まず、強化子を何にするか決めます。話したがらない子どもが、話すだけの価値のあるようなものを選ぶ必要があります。

本当は一番に「ママ」という言葉を教えたかったのですが、呼ばなくてもいつも隣にいる「ママ」は、我が子にとって話すほど価値のあるものではありません。

子供は、ジュースが大好きでした。これを強化子にしました。

まず、テーブルの上にジュースを置きます。(ここで重要なのは、絶対に子供が自分では取れない場所に置くことです)

それを見つけた子供は「わー」「だー」と意味のない音を発します。

ここで「これはジュースというの、ジュースと言ってごらん」と説明をして、「真似して!」「ジュース」とモデリングします。口の形をはっきり見せてあげることも大事です。

子供は最初のうちは「わー」「だー」と続けていましたが、私がモデリングを繰り返すうちに「ジュ」と近い音を発音しました。

ここですぐに「強化」します。(強化はジュースをあげること)強化は3秒以内がベストです。また「上手だよ」「頑張ってるね」などの声掛けもセットで行います。大げさな賞賛くらいがちょうどいいです。最初は似た音を出そうと頑張っている姿勢や、頭文字だけでもすぐに強化します。ちなみに、強化子のジュースは、ストローでひと口の分量で行いました。これを何回かに分けて与えます。

言えばもらえるんだ、と気づかせることが大事で、一度つながりができれば、話せばいいということがわかってきます。

ちなみにこれはABAの中でもPRTという方法です。生活の中で療育ができるので、私は最も好きな方法でした。他のABA(DTTなど)や、言語訓練の様子は、またの機会にお話させていただきます。

この記事を書いた人

Sally
小学生の発達障害児を持つ母。子供が2歳の頃からABA【応用行動分析】を中心とした早期療育に取り組む。普通とはちょっと違う我が子が、社会で楽しく暮らしていけるように応援する毎日。子供が社会に溶け込むためには、まずは自分が社会と繋がっていないと…そのための自分磨きもバッチリ。